愛欠乏症にならないために ~ストロークのすすめ~

幼少期に大切なこと ~愛情はたっぷりに~

以前のコラム『インナーチャイルドセラピー』にも書いたとおり、幼少期の親、または養育者からの影響や環境は、その子どものその後の人生に大きな影響を与えるということをお分かりいただけたかと思います。

人は生まれた時から肉体的なふれあいや、温かい言葉から心の安定を得たいという欲求があり、この欲求が幼少期に十分に満たされると、自他に対する基本的な信頼と肯定を築くことができるのです。

しかし、この欲求が満たされないと、不信や疑いなどが心に残り大人に成長してから様々な場面で影響を及ぼしてしまう可能性があるのです。

ですので、幼少期に親から微笑んでもらえなかったり、優しくしてもらえなかったり、許してもらえなかったりすると、それらのことが少しずつ心の傷となってしまうことがあるのですね。

このように幼少期に受ける愛情は、非常に大切なものなのです。

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大人になっても必要なもの ~ストロークって知ってますか?~

幼少期に愛情を注ぐことの大切さについては上述したとおりですが、人間は幼少期から児童期、青年期、そして成人へと成長を続けていきます。

幼少期から成人になってもずっと大切なものとして、心理学の一つであるTA(交流分析)では、「ストローク」が挙げられています。

みなさんは、この「ストローク」という言葉を聞いたことはありますか?

よくテニスなどでボールを打つことをストロークと言いますが、storokeには「打つこと、打撃」という意味があるほかに、「撫でる、さする」などの意味もあります。

そして、TA(交流分析)の心理学においては主に「相手のことを認める」という意味で使われます。
「あなたの存在、価値を認めていますよ。」ということで、それを伝える行動などもストロークと呼びます。

つまり、相手に対する愛情や思いやり、信頼、承認、称賛などの言動をストロークと呼ぶのですね。

このストロークをたくさん受け取ることができると、人の心は安定し意欲がわいてくるので、ストロークを与えることはとても大切なことなのです。

また、これは他者に対することだけが大切なのではなく、自分自身にストロークを与えることはとても大切なことなのです。

誰かが褒めてくれなくても、自分で自分を褒める、ということも大切なことなのですね。

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ストロークをためておく場所 ~心にはストロークのつぼがある~

そして、そのストローク理論の中に、人はストロークを入れる壺を心に持っているという考え方があります。

その心の中の壺をいつもストロークでいっぱいに満たしていると、心が落ち着き満たされた気持ちを保つことができるのですね。そのうえ満たされている間は自分からも人にストロークをあげることができるのです。

分かりやすい例で言うと、いいことがあって自分の気分がいい時は人にも優しくなれるということですね。

普段気難しい人でも、なんか機嫌がよさそうな時ってありませんか?その時は、その人の心の壺がストロークで満たされているのですね。

普段気難しい人の機嫌がいいと周りの人も安心します。心の壺をストロークで満たしてあげることはその人だけでなく、周りの人も幸せにすることができるのですね。

逆に、この心の壺がストロークで満たされていないと、心が不安定になり気分も良くありません。他者に思いやりを与えることなどできず、自分自身もとても憂鬱な気分となってしまうのです。

そんな時は、心の壺がスカスカ状態です。

スカスカと聞くと、いかにも枯れているような感じがしますが、この状態の時には自分にも周りの人にも思いやりや優しさなどのストロークを与えることができないので、人間関係などで問題を抱えるようになってしまうのです。

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ストロークの壺は素焼き ~ストロークは補充が大事~

上記のように、心の壺をストロークで満たすことはとても大切なことなのですね。

そんな大切な心の壺ですが、実は、このストロークの壺は素焼きでできているのです。素焼きの壺ですから、一度ストロークが入っても、時間が経つとどんどん外へ漏れていってしまうのです。

ですので、いつもいいストロークを受け取り、心の壺を満たしておくことが必要となるのです。

自分の子どもに対しても、子どものころにたくさん褒めたからもう褒めなくていい、ということではありません。そして、この心の壺が空っぽになってしまうと心は不安定となり、もっとひどくなると愛欠乏症になってしまします。

そうなると、他者や自分を責めたりしてしまいがちになり、結果的に引きこもった行動が多くなったり、人間関係を破壊してまったりするのです。

そうなると、やはり一番つらいのは自分自身です。ですので、そうならないためにも心の壺はいつも十分なストロークで満たしておきたいですね。

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愛欠乏症にならないために ~ストロークのすすめ~

心の壺を満たしておくためには、他者から与えられたストロークは素直に受け取ることが大切です。

褒められたり、感謝されたり、認められたりしたら素直に受け取りましょう。

日本人は謙遜が美徳と考える文化がありますが、褒められたときは素直に受け取るほうが自分の心を満たすためにはいいのですね。

「いえいえ、まだまだ私なんて、、」と言わずに、「ありがとうございます。」と素直に受け取りましょう。そうすることで見えない心に栄養が届き精神的にも健全になれるのです。

それでも自分の心の壺がスカスカになりそうになったら、ストロークを与えてくれる人には積極的にストロークを求めに行きましょう。

あなたには、心が疲れた時、悲しいことがあったとき「慰めて。」と言える相手はいますか?

そういう相手からは積極的にストロークをもらい、自分の壺が満たされたら他者へのストロークを与える、この循環ができるようになると自然に自分に入ってくるストロークも多くなるのです。

また、幼少期には他者から与えられるストロークがほとんどですが、成長するにつれ自分自身でストロークを与えられるようになります。

心が疲れてきたと感じたら、自分でも積極的にストロークを与えるようにしましょう。

頑張っている自分を褒めたり、何か我慢した時には、我慢が出来た自分を褒めたりすることで心の壺はストロークで満たされていくのです。

あなたは愛欠乏症になっていませんか?

今、自分の心の壺はどのような状態か、自分自身を確かめてみてくださいね。

そして、もし心の壺が満たされていないようだったら、まずはありのままの自分を認めるところから始めましょう。

そうすることで、徐々にストロークが増え、きっと心の壺はとてもいいストロークでいっぱいになることと思います。

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